「人間を殺してトドを生かすなんてバカな話」
と、漁師は語っていた。
知床半島が世界遺産に登録されて、絶滅危惧種のトドの駆除が規制されることや、すけとうだらの漁が規制されるのを恐れているのだ。
トドは海獣で、漁網を食い破って魚を横取りするのだそうだ。
一日あたり一頭40㌔の魚を喰らうと言われているそうで、北海道全体の漁業被害額は年間10億円という。
漁業被害を防ぐため?に年間116頭まで駆除が認められているのだという。
「はあ?」と言いたい。
「年間10億円のために116頭も殺してるのか。」
ニュースの映像では、散弾銃を使ってトドを駆除していた。
年間116頭というのは恐らく、撃たれたトドが、その撃たれた瞬間に浮かび上がって、船で回収されたら一頭と数えている可能性がある。
つまり、人ごみに向って散弾銃を撃ちぱなしまくり、その場で人間を116人即死させるまで撃ち続けるのと同じだろう。重傷ながら命からがら逃げおおせた人が、あとで治療を受けて九死に一生を得るというのは含まれない。トドは体が大きいので、被弾しても、その場で即死しない可能性が高い。しかし、治療の受けられない野生動物はすぐに死ぬ。また散弾銃はほとんどが鉛弾なので、一発でも被弾すれば、その個体のみならず、環境にまで悪影響を及ぼしている可能性も否定できない。
私の予想では、トドは年間116頭でなく、もっと殺されている。300頭以上はくだらないかもしれない。
たった 10億円 のために!!
アメリカ・ロシアはトドを保護しているという。
もし、トドが絶滅したら、我々は、また税金を使ってトドを復活させるのだろうか?
ふざけないでほしい。
アメリカ・ロシアの漁民の利益にフリーライド(米・露の漁民はトドによるコストを支払っている)しておきながら、日本の漁民がわずか年間10億円ごときで、将来修復にいくらかかるか分からない損害を自然に与えるのは。
大体、知床の漁業資源は、知床ではなくて、目と鼻の先の北方四島が、ロシアの管理下で厳しい漁業制限を受けているために産出されていると言われている。
北海道では釧路湿原などにわずかに生き残っているシマフクロウ(この保護・育成のためには年間いくらかかっているのか?)は、北方四島にはうじゃうじゃ居ると言われている。
四島にそれだけ人間が少ないからだ。(私は四島返還に、自然保護の観点から反対する気持ちもある)
北海道は、昭和のスケトウダラ乱獲により、スケトウダラは激減してしまった。
以降、スケトウダラはほとんど復活していない。
私は無知だからこそ言わせてもらう。
一時的に、漁業制限(漁業停止)させることで、漁業資源が戻ってくることは最近では良く知られている。日本では、どこの海岸も産卵床となる海の浅瀬が砂防ダムによって消失してしまっているので、効果は薄いかもしれない。しかし知床では、砂防ダムの撤去による浅瀬の創出と、産卵数の増加で漁業資源が戻る可能性はあると思う。数年はかかるだろう。しかし、スケトウダラの乱獲がそれくらいしか続かなかったことを考えれば、安い投資期間のはずだ。
もし知床で成功すれば、トドも人間も生きられる場所になるはずだ。
そのために、知床半島の砂防ダムの撤去と、一時的な漁業制限を強く勧めたい。
「トドを生かして人間は我慢!!」
一時的に死んでもらうのは漁民の方だ。